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【ライヴ・レポート】AKANOTANINを聴くスリル──〈AOTOAKA〉@time Tokyo

by YUMEOCHi

ライヴレポート:AKANOTANIN

AKANOTANINのDr.前田浩輔さんと出会ったのは約2年前だろうか。大阪遠征で対バンしたとあるバンドのサポートドラムが前田さんだった。初めて会った時から「優しい兄貴」という言葉が似合う人だった。(メガネをかけるとまるで別人だ)

たった一回のライブを共にしただけなのにそれ以降も頻繁に連絡をくれて、僕らが大阪にライブをしに行くときは決まって駆けつけてくれるのだった。

年始に大阪に行った時、「今度東京にライブしに行くから是非見にきてくれ!」ということで今日という日をとてもとても楽しみにしていた。「AKANOTANIN」というバンドは2ピースという最少数編成。

ライブの場所となるtime Tokyoは四方を真っ白な壁に囲まれた、MV撮影スタジオも兼ねたライブハウスである。この日は大阪のバンド、「青い金魚」とのスプリットツアーだった。

撮影班のKohta氏が来れなかったので八王子まで一人取材。ちょっとした遠征気分だった。

果たして「AKANOTANIN」というバンドはどのようなライブを見せてくれるのだろうか?

Interview&Sentence&Photo:RyO

京王堀之内駅にあるLIVE HOUSE「time Tokyo」

。真っ白な壁の中にぽつんとピアノとドラムが並んでいる。この日AKANOTANINは出番1番目だった。アコースティックなイベントならではの雰囲気で、緩やかな雰囲気で始まると思った手前。

「こんばんは、大阪から来ました。AKANOTANINと申します。」

の一言でピアノ、ドラムのユニゾンがガツンと一発。

(やられた…)

一本の線が静寂を破る。

いわゆる「アコ箱」で鳴るドラミングとは思えないダイナミックさ。その中をピアノの旋律が廻る、廻る。音符が視覚化されて飛び回ってるかのよう。

Piano/Vo.前田人美の歌声はどこかノスタルジックで、曲毎に情景をくるくる映し出してくれる。そこに映っているのは、幼い自分だったり、昔自分が見てきた光景だったり、あの時感じた匂いだったり。

知らず知らずのうちにライブハウスの白い壁が自身の思い出スクリーンになる。

Dr.前田浩輔のドラミングも次第にタイトに変化していき、AKANOTANINの音に自身の感覚まで一体化されてしまった。

ここで僕が普段、滅多に感じない事に気付いてしまった。

(酒がうまい…)

インスト曲も織り交ぜながらステージは進んでいく。50分という長尺だったが、合間合間のインスト曲がこれまた自動的に思考を整理してくれているようで、絶対に外せない。

小説でいうと章と章の繋ぎ目。

そしてまたノスタルジックな雰囲気にぐいっと引き戻される。

「甘いジャッジとかマジでいらないんで、自分に厳しく宜しくお願いします。」

とMCで前田人美は言う。

大阪のバンドだけで行うスプリットツアーイベント。東京でも自分達の音楽を鳴らす、という覚悟が伺えた。

折り返しで披露された曲、「点と線」ではノスタルジーな雰囲気から途端にスリリングになる。真っ白な壁に映る思い出スクリーンにはいつのまにか「色」が入っていた。

色々な情景を見せてくれていた雰囲気が一変。知らず知らずのうちに主導権がAKANOTANINに渡っていく。

ライブの最後にはMVにもなっている曲、「twilight」を披露。

この曲の歌詞を聴けばなるほど、全ての謎が解けた。

「最果て、波間の其処彼処に見えていたのは、捨てたはずの日々」

この一節がAKANOTANINが目の前に終始映し出していた映像とリンクした。

優しい世界も、懐かしい景色も、捨て去ってしまった思い出も映し出す、ピアノとドラムだけの最小編成というバンドで魅せるAKANOTANINのライブ。それは「聴く映像作品」のように感じた。

ライブ一発録り修正なし、AKANOTANINの雰囲気が余すことなく詰まった新譜、「fry」と同時にこのスリルをぜひ体感して欲しい。

PROFILE

AKANOTANIN

Vocal,Piano &Machine 前田人美

Drum 前田浩輔

From Osaka,Japan Piano+Drum Band.

大阪発ピアノポストロックバンド

2ピースという最小編成を存分に生かして活動中。前田がふたり、それでも二人は「AKANOTANIN」。

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